株式会社シアテック 株式会社シアテック

CIATEC INFORMATION

CIATEC INFORMATION No.98

CIATEC
INFORMATION
2014年12月

No.98
お取引先様 各位
「常時微動観測機器」導入のお知らせ

 皆様におかれましては、ますますご発展のこととお喜び申しあげます。
 日頃は格別のご愛顧を賜り、ありがたく厚く御礼申しあげます。
 弊社では、これまで地震応答解析により耐震点検や耐震設計に取り組んでまいりました。今回は、その一環として「常時微動観測機器」を導入いたしましたので、ご紹介させていただきます。

  常時微動観測から得られる結果は、
耐震検討を行う地点特有の地震波の設定に利用します。
 現在、主に港湾施設の耐震設計検討、建築の免震設計などで利用されています。

 常時微動とは、地盤が地震時以外にも交通や工場の稼働、波浪、風に揺れる木々などを振動源として、人が感じないほどの小ささで常に揺れている現象のことです。 常時微動観測によって得られる水平方向と上下方向の揺れの比を計算して得られるピーク周期は、地盤の固有周期(揺れやすさの特徴)と関連があるとされています。堆積層によって地震波が増幅される度合いは、 場所によって異なる特性を示します。そこで、現地で常時微動観測を行い、その結果から、対象地点の近傍で判明しているサイト増幅特性を補正し、地震波を設定します。
 つまり、現地で常時微動観測を行うことで、施設の適正な設計、解析ができるようになります。
常時微動観測の概要と特徴
 現在の計測時間は、1~3時間ほどです。非常に小さな振動を計測するため、ノイズの少ない夜間に観測を行うことが多くなります。測定は、3成分(南北方向、東西方向、上下方向)を計測します。 観測機器は50cmほどの箱型ですので、広い場所は不要です。

 常時微動観測の測定データを利用した港湾施設の解析事例については、弊社ホームページの「銅通信Vol.14 地震波形の作成(港湾)と常時微動観測のご紹介」をご覧ください。(概要は下図参照)

 今後、弊社では、常時微動観測機器による取り組みをさらに進め、各種施設のより信頼性の高い地震波形の作成に活用してまいります。

 お客様の多種多様なご要望に対しましては、的確な提案と対応に心がけてまいりますので、よろしくお願いいたします。

以上


補足


1.なぜ常時微動観測を行うのか?

 地盤や構造物は、それぞれ”固有周期”という揺れやすさの特徴をもっています。固有周期に近い地震波を受けると、共振現象により地盤や構造物が大きく揺れ、 被害が大きくなります。
 もし、実際とは異なる固有周期成分を多く含む地震波形で地震時の地盤や構造物の挙動を計算した場合、ときに被害過小評価してしまうことがあります。
 サイト増幅特性は、堆積層における地震波の増幅特性を周期(もしくは周波数)で表したものです。地震時の地盤・構造物の挙動をより良く解析により把握するためには、サイト増幅特性には対象とする地点の固有周期を反映させておく必要があります。常時微動観測結果から得られるピーク周期は、堆積層の固有周期と関連があるとされているので、これを利用してサイト増幅特性の補正を行っています。

2.サイト増幅特性を使ってできること(地震波形の作成)

 港湾の施設の技術上の基準・同解説に示される地震波形の作成方法をご紹介します。
 常時微動観測結果に基づいて補正されたサイト増幅特性の他に、断層モデルのデータ、中小地震記録を主な入力として、計算を行い、地震波形を作成します。 計算には、独立行政法人 港湾空港技術研究所から公開されているプログラムを使用します。

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