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CIATEC INFORMATION

CIATEC INFORMATION No.101

CIATEC
INFORMATION
2015年12月

No.101
お取引先様 各位
シアテック設計実績のご案内
『耐震補強工事への高品質フライアッシュCfFAの採用』

 皆様におかれましては、ますますご発展のこととお喜び申し上げます。
 日頃は格別のご愛顧を賜り、ありがたく厚く御礼申し上げます。

 兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)等日本では多くの地震が発生し、これらの大地震を契機に昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた建家の耐震化(耐震補強)が進められています。
 今回は弊社が設計を担当した耐震補強工事に高品質フライアッシュコンクリートを採用、低炭素化推進に貢献した事例をご紹介致します。
 フライアッシュとは、石炭火力発電所で生じる石炭灰から電気集塵機で採集する球状ガラス質の灰のことです。高品質フライアッシュ(CfFA)は、コンクリート用混和材料として安定した品質のフライアッシュとして LOI(強熱減量)を1.0%以下に低減したもので、住友共同電力(株)壬生川火力発電所で製造されています。

 弊社ではこのCfFAを積極利用できないか検討していた所、大阪地区の住友化学㈱の研究所の耐震補強で有効利用できる目途が立ちました。
 これは『居ながらの耐震補強』として鉄骨ブレースを建物の外側に複数取付け、補強を行う工事です。この外付けの鉄骨と既存柱、梁の隙間にはコンクリートを充填する必要がありますが、隙間が2cm程度と狭く、打込み高さも4mを超える為、高流動性と低収縮性が要求されました。
 そこで高流動性と低収縮性に優れ、高強度であるCfFAを採用できないか、大阪への輸送方法、生産体制、配合等を検討の上、大阪で試験練りによる試験も行い、本工事に採用する運びとなりました。
ブレース定着部の充填材に必要な性質】
① 流動性が良好で施工性が良いこと
② 圧縮強度が高いこと(30N/mm2以上)
③ 硬化後体積変化を生じないこと
④ ブリージングや砂の分離が無いこと
【高品質フライアッシュCfFAコンクリートの性能】
① 流動性は非常に良好(裏面Ⅰ参照)
② 圧縮強度30N/mm2以上確保可能(裏面Ⅱ参照)
③ 収縮ひずみを小さくできる(裏面Ⅲ参照)
④ CfFAによりブリージングが抑制される

 弊社は今後とも、最適な技術とこれまで蓄積したノウハウの活用により、お客様の想いを形にするお手伝いを誠意を込めて行ってまいります。

以上


高品質フライアッシュCfFAの性能紹介【補足資料】


 2015年11月17日に、表面の【ブレース定着部の充填材に必要な性質】を確認するためにコンクリートの試験練りを実施いたしました。試験練りの結果、強度、流動性、収縮性、施工性に問題が無く、採用できることが確認されました。試験での確認内容は下記になります。
 ① 流動性 :スランプフロー試験により確認
 ② 圧縮強度:試験練りのコンクリートから供試体を採取し、圧縮強度試験を実施
 ③ 体積変化:供試体の寸法を実測
 ④ 材料分離:試験練り状況、供試体より確認

Ⅰ.流動性

CfFA  右の写真はコンクリートのスランプフロー試験(コンクリートの流動性を測る試験)の結果です。コンクリートの高さが低ければ流動性が高いことを意味します。こちらの写真は試験練りでの CfFAを用いた高流動コンクリートです。本試験より流動性の高さを確認しました。
 フロー試験はコンクリートの広がりの直径を測定するのですが、結果は60.6cmと50cmを上回っており流動性は良好です。また、配合において同強度とした場合、CfFAを用いるとセメント量や高性能AE減水剤を減らすことが可能です。

Ⅱ.圧縮強度

 試験練りで3本の供試体から4週の圧縮強度を測定した結果、耐震補強の定着に要求される30N/mm2を十分に満足する結果が得られました。
CfFAを用いたコンクリートの圧縮強度  また右のグラフはCfFAを用いたコンクリートの圧縮強度を表しています。CfFAの配合が多いほど強度は高くなる傾向にあります。また材齢が進むほど強度を発揮するため、4週での試験結果よりも高い強度を期待できます。

Ⅲ.収縮ひずみ

CfFAを用いた収縮試験の結果  コンクリートの収縮試験は100x100x400mmの供試体を作製し、ひずみ量を測定します。CfFAを用いた収縮試験の結果が右のグラフになります。
 縦がひずみ率を示していますが、CfFA20%の際に約600x10-6、これは10mの躯体で約6mmの収縮量と非常に小さいもので、ブレースの工事でも問題ないと考えられます。
 また、CfFAの配合が多いほどひずみは小さくなる傾向にあることがわかります。収縮ひずみが小さいということは、コンクリートのひび割れの抑制にもなるため、耐震補強に限らず多様な面で有効な材料と言えます。

 今回の事例で用いたCfFA(高品質フライアッシュ)は住友共同電力㈱の石炭火力発電における副産物である石炭灰を有効利用するもので、地球温暖化防止にも繋がります。また前述の通りCfFAは住友化学グループの住友共同電力株式会社が開発に携わっております。弊社は今後とも住友化学グループのエコロジーや気候変動への取組みに寄与して参ります。


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