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今回は、「建築物における天井脱落対策」についてご紹介させていただきます。
さる2011年に発生した東日本大震災においては、体育館、大規模ホール等の多数の建築物で天井が脱落し、甚大な被害が生じました。このような状況を踏まえ、国土交通省において『天井の脱落対策に係る技術基準』が定められ、新築建築物等への適合を義務づけるべく建築基準法施行令、関係告示等が改正され、本年4月1日より施行されました。
●特定天井に該当する場合は、下記のいずれかの方法により天井の安全性を検証しなければなりません。
①耐震性等を考慮した天井の仕様に適合させる方法(仕様ルート)
本技術基準で定められた天井の仕様に適合させる方法。
・天井の単位面積質量を20kg/㎡以下とする。(最下部の補足をご参照)
・天井材はねじ、ボルト等により相互に緊結する。
・吊長さは3m以下で概ね均一にする。吊材はJIS規格の吊ボルトを用いる。
・斜め部材はV字状に必要組数を釣合い良く配置する。
・壁等との間に6cm以上の隙間を設ける等。
②構造計算により構造耐力上の安全性を検証する方法(計算ルート)
③国土交通大臣の認定工法を採用する方法(大臣認定ルート) |
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既設建築物の増改築を計画する際、既存部分に特定天井が存在すれば、その改修が義務付けられ、大規模な改修が必要となり、計画に影響を及ぼすことになります。弊社は増改築計画において適切な検討を行うことはもちろんですが、高さが6mを超えない天井の場合でも耐震性に考慮した設計を行います。お取引先各位におかれましては、計画の初期段階より弊社へ相談をいただきます様、よろしくお願い申しあげます。
補足・参考例
●天井の単位面積質量について
特定天井に該当しない単位面積質量2kg/㎡未満の吊天井とは、天井ボードの代わりにシート(難燃性高強度繊維シート)を貼った膜天井程度しかありません。天井ボードが貼られているような一般的な天井は10~20kg/㎡程度までの質量となっています。そのため、前述の技術基準に示されています仕様ルートでは一般的に使用されている天井ボードを想定し、上限を20kg/㎡としています。
尚、膜天井等(2kg/㎡未満の天井)は軽量でありますので地震時に落下しても危険性が低いことから特定天井に該当しないこととなっています。
表 各種の吊天井における天井面構成部材の単位面積質量(参考値)
吊天井の種類
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単位面積質量(kg/㎡)
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石膏ボード9.5mm+下地材(天井を固定する為の軽量鋼製下地)
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7.1~10.0
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ロックウール吸音板9mm+石膏ボード9.5mm+下地材
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10.2~13.1
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膜天井(膜材料のみは0.5kg/㎡)+下地材
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1.0~1.9
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●参考例
以上
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